「旭若松 純米無濾過生原酒 雄町 2号 R1BY」は、芹が谷にある秋元商店で購入。
基本的な情報をまとめておくと(裏ラベルや醸造元である那賀酒造の公式サイトなど参照)、醸造元:那賀酒造有限会社/醸造元所在地:徳島県那賀郡那賀町和食字町/原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)/原料米品種:雄町100%/精米歩合:70%(自家精米)/使用酵母:10号系/アルコール分:20度/日本酒度:±0/製造年月:2020.3月分。
那賀酒造は、享保10年(1725)創業。緑豊かな山々と清流那賀川に囲まれた鷲敷の里で、米と水だけの酒造りを営む。年間生産量40石余りの小さな蔵で、麹の一部には自社の田んぼで栽培した米を使用し、原材料のすべての米は一から自家精米するなどこだわりの酒造りを行っている。現在、杜氏兼蔵元の11代目松浦章裕のもと、力強くどっしりとした酒を醸している。
秋元商店のコメント:「旭若松らしいふくよかな味わいと芳醇な旨味を感じる逸品です。お燗にすると更に旨味が増します」
秋元商店で前から目にしていて、杉田衛保『究極の日本酒 マリアージュで楽しむ純米無濾過生原酒16本』でも取り上げられていて、ずっと気になっていた酒。アルコールの度数が高く、確かに力強くどっしりとしているのに、決して重くはなく、飲みにくさというのもない。
▼ 那賀酒造は、徳島の山々に囲まれた内陸に位置する蔵。
料理は、地理的にみれば、山のもの、畑のものになりそうだが、前掲書のマリアージュの説明が大いに参考になる。
「甘みも旨みもあるので、とがったものをまろやかにします。なので、濃い味、しかも個性を持った料理との組み合わせが冴えます。辛くて、甘くて、酸っぱい八丁味噌を使ったビーフシチューが非常に美味しい組み合わせです。他にも、地豚のにんにく味噌バター炒め、鯉こくなど、酒と釣り合う個性があると美味い。魚でも肉でも味噌漬け、粕漬けといった発酵食品、保存食品が美味しく、甘露煮などの煮魚もよく合います。
中華にも合います。辛い料理や甘酸っぱい料理が得意です。麻婆茄子、麻婆豆腐、酢豚、黒酢を使ったあんかけなど、辛さを抑え、酸っぱさをまろやかにして、味のバランスをよくしてくれる。調味料の働きをしてくれます。酒が料理に合わせにいくような感じです」
この日に抜栓した旭若松の熱燗で。この甘みと旨み、凝縮感、そして熟成感をどうやって出しているのだろうと思う。もちろん筑前煮も悪くはないが、この味にはオーソドックスなものより、クセのある個性の強い料理の方が楽しめる。
《参照/引用文献》
● 『究極の日本酒 マリアージュで楽しむ純米無濾過生原酒16本』杉田衛保(花伝社、2016年)
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