これは8月末の話。いつも台風がくる前には、強風を避けるために庭のオリーブを屋内にしまうようにしているが、その台風が去ってオリーブを庭に出しているときに、枝に大きめのイモムシがついているのに気づいた。
最初はミッション、それからシプレッシーノにもついていた。これまで見たことのないイモムシだったので、すぐに岡井路子『決定版 育てて楽しむ オリーブの本』の病害虫対策のページをチェックし、スズメガの幼虫だとわかった。その特徴は以下のように説明されている。
「体長7~9cmにもなる大型のイモムシ。6月から10月に発生。(中略)食欲旺盛な幼虫が葉をどんどん食べてしまうので被害甚大です」
確かにすごい勢いで葉を食っている。あと勉強になったのが、「黒くてころころしたふん」が目印になるという記述。確かに下を見ると、土の上に黒いふんが落ちているのがわかる。幼虫は保護色でなかなか気づかなかったりするので、ふんは重要な目印になる。
そして、もうひとつ非常に参考になったのが以下の記述。
「円筒形の体の下面に1対ずつ並んだ足でしっかりと枝につかまっているので、割り箸でそっとつまんだくらいではなかなかとれません。思いきって、しごきとりましょう」
筆者はピンセットを使ったが、枝からとるのにほんとうに苦労した。おかげで、これ以後は、保護色にも慣れ、幼虫がもっと小さいうちに見つけられるようになった。
我が家のオリーブは、最初にシプレッシーノとシルベストリスがハマキムシにやられ、次にネバディロブランコがコガネムシの幼虫にやられ、今度はミッションとシプレッシーノがスズメガの幼虫にやられた。こんなに次々とオリーブにつく害虫を確認することになるとは思っていなかった。
ちなみに、モート・ローゼンブラム『オリーヴ讃歌』には、害虫について以下のように書かれている。
「暖かくなると害虫が発生する。世界中の生産者に共通の悩みである。最悪なのはオリーヴミバエで、レース模様の翅をもち、果実に卵を産みつける。そうなると、実がすっかり落ちないまでも、オイルが虫臭くなる。Coccus oleaeという黒いカイガラムシは、葉や幹などにつき、何千という卵を産む。成虫が這ったあとには、ねばねばした排泄物が残り、これが原因で菌が発生し、おなじみのスス病を引き起こす。放置すると樹皮は黒くすすけたようになり、枝は枯死する。ほかにも木や果実に穴をあける虫、蛾、クモなどさまざまな害虫がおり、こぶ病などの病気もある。オリーヴの健康を取り戻すためには、人間が手を貸してやる必要がある。正しく使えば、銅剤などの殺菌剤や殺虫剤が効く。だが使い方を誤ると、ますます状態が悪化する」
《参照/引用文献》
● 『決定版 育てて楽しむ オリーブの本』岡井路子(主婦の友インフォス情報社、2014年)
● 『オリーヴ讃歌』モート・ローゼンブラム 市川恵里訳(河出書房新社、2001年)
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