「千代むすび 純米吟醸 強力50」は、伊勢佐木町にある徳丸商店で、「諏訪泉 田中農場 純米吟醸 強力 生原酒 R3BY」は、菅田町のちょっと行きにくいところにある酒の旭屋で購入。
「千代むすび 純米吟醸 強力50」の基本的な情報をまとめておくと(裏ラベルや醸造元サイトの商品説明など参照)、醸造元:千代むすび酒造株式会社/醸造元所在地:鳥取県境港市大正町131/原材料名:米(国産)、米麹(国産米)/原料米:強力100%/精米歩合:50%/使用酵母:鳥取県吟醸酵母/日本酒度:+5/酸度:1.6/アルコール度:16度/杜氏:米田真/製造年月:2020.3。
商品説明:戦前に鳥取県の奨励品種であった幻の「強力米」を復活。弊社を代表する商品「純米吟醸、強力50」。余韻はお米の旨味と酸味が特徴的なお酒。根強いファンも多い人気商品です。
蔵元からのコメント:華やかな香りに、なめらかな味と酸味が心地良く、ふくよかな味わいが広がる代表作。少し冷やして、タコの酢の物や豆腐、焼き鳥、大根の煮物などと一緒に食中にお召し上がり下さい。
この千代むすびは、「鳥取の地酒、千代むすび 純米吟醸 強力50のぬる燗で甘酒きんぴら、ぶり大根とくろそい鍋の残り、甘酒と異なる醤油を使ったくろそいのかぶと煮をいただく+甘酒の仕込みと極寒仕込み「北陸」のこと」のときに抜栓してから常温保存で11日ほど。購入したのは最近だが、製造年月からわかるように3年ほど寝かせてあったもの。自分で寝かせる時間が省けたようなもので、筆者にとってはありがたい。
千代むすび酒造の所在地は、鳥取県境港市大正町。醸造元サイトに「港の銘酒」や「鳥取県境港の蔵元」とあるように、弓ヶ浜半島の先端に位置している。仕込み水は、中国山地の麓・島根県雲南市大東町に専用タンクを設置していて、やや軟水とのこと。
「諏訪泉 田中農場 純米吟醸 強力 生原酒 R3BY」の基本的な情報をまとめておくと(ラベルなど参照)、醸造元:諏訪酒造株式会社/醸造元所在地:鳥取県八頭郡智頭町/原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)/原料米:田中農場産強力100%使用/精米歩合:55%/使用酵母:9号酵母/日本酒度:+7.7/酸度:1.6/アルコール分:19度/製造年月:2022.03。
酒の旭屋のコメント:「お米を感じるふくよかな香り 程よい甘味 酸 渋み。フレッシュで旨みタップリ 厚みがあって味わいしっかり」
この田中農場 強力は、「鳥取の地酒、諏訪泉 田中農場 純米吟醸 強力 生原酒 R3BYの熱燗でぶりかま大根、まだいのかぶと煮、雑煮をいただく」のときに抜栓してから常温保存で11か月ほど。田中農場や鳥取独自の酒造好適米である強力についてはそちらの記事でいくらか触れている。
諏訪泉酒造の所在地は、鳥取県八頭郡智頭町。山間部に位置する蔵で、井戸から汲み上げる水は軟水で、HPの説明によれば「沖ノ山から約30㎞を100年かかってたどり着く」という。
同じくライフ・ビエラ蒔田店で購入したたなかげんげ(ばばあとも呼ばれる)。実にユニークな顔と形をした深海魚。こちらではあまり見かけないが、鳥取ではけっこうポピュラーなようだ。今年の3月にはじめて購入して料理したが(「鳥取の地酒、日置桜 生酛玉栄 純米酒 H28BYの飛び切り燗で実にユニークな顔かたちをした大きな魚「たなかげんげ」の煮つけやちり鍋をいただく」)、前回のものに比べると小ぶり。
こちらが前回購入したたなかげんげ。同じようなサイズに見えるかもしれないが、このたなかげんげは、実はひと回り大きなプラスティックのトレーに入れて、それでもはみ出している。まな板を2枚並べないとさばけなかった。
小さなやりいかの煮つけ。調味料は、マルキンの天然醸造生しょうゆ 蔵のうまみ(開栓後冷蔵保存で16日目、90日間新鮮さを保つ密閉ボトルなので1か月の目安を意識する必要はないのだが)、福来純伝統製法熟成本みりん、喜界島さとうきび粗糖、澤屋まつもと厨酒。
たなかげんげのかぶと煮。たなかげんげの大きな頭を梨割りにし、一方は鍋のだしに使い、もう一方を煮つけにすることに。調味料は、極寒仕込み 北陸(開栓後冷蔵保存で11日目)、福来純伝統製法熟成本みりん、喜界島さとうきび粗糖、澤屋まつもと厨酒。コラーゲンたっぷり。
たなかげんげが鳥取産ということで、まずは千代むすび 純米吟醸 強力50のぬる燗で。錫半のちろりに入れた酒を湯煎で40℃まで上げて、それを陶器の徳利に少し高い位置から注ぎ、徳利を湯に戻してしばらく待つ。最終的な温度は確認しないので、便宜的にぬる燗としている。抜栓時よりもさらに香りが穏やかになり、落ち着いた味わい。
たなかげんげのちり鍋。たなかげんげは、鳥取では「ばばあ」や「ばばちゃん」と呼ばれ、鍋にすればばばちゃん鍋になる。そのばばちゃん鍋はどうも醤油仕立てのようだが、たなかげんげからいいだしが出るので、わが家では前回につづいてちり鍋に。
今度は同じく鳥取の地酒、田中農場 純米吟醸 強力 R3BYの熱燗で。錫半のちろりに入れた酒を湯煎で60℃まで上げて、それをお気に入りのごつい陶器の徳利に少し高い位置から注ぎ、徳利を湯に戻してしばらく待つ。最終的な温度は確認しないので、便宜的に熱燗としている。この燗のつけ方に変えてからしばらく平盃を封印していたが、また復活させた。
同じ強力を使った純米吟醸でも、醸造元のコメントにあるように「華やかな香り」の千代むすびと香り控えめの田中農場では、まったく違う酒のように感じても不思議がないところだが、千代むすびの香りが穏やかになっているためか、つづけて飲むとふと共通するものを感じる瞬間があって面白かった。