「鳴海 初しぼり 純米96生原酒」は、京急・南太田駅からちょっと歩く横濱 鈴木屋酒店で購入。
基本的な情報をまとめておくと(裏ラベルや醸造元HPの商品説明を参照)、醸造元:東灘醸造株式会社/醸造元所在地:千葉県勝浦市串浜1033/原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)/原料米:ふさこがね100%/精米歩合:96%/酵母:無添加/酒母:きもと造り/アルコール分:14度(原酒)/製造年月:2023.11。
醸造元のコメント(裏ラベルより):生酛造り・酵母無添。超低精白のため酒色は黄金で爽やかな酸とキレ良い味わい。上品な香りに香ばしさも有する個性的なお酒。
菊池杜氏のコメント(醸造元HPの商品説明より):今年から全量 生酛 純米造りとなりました。1本目、初しぼりは精米歩合96%へ、そして酵母無添加にチャレンジしました。削ってないお米のためお酒の色はとても黄色味になりました。エステル様の酢酸イソアミルとほんのり香ばしい香りもします。少しの甘みと爽やかな酸による後キレが楽しめます。他にはない独特なお酒になっています。
東灘醸造の所在地は、千葉県勝浦市串浜。「カツオの水揚げ高全国有数の漁業基地・外房勝浦に弊社は慶応三年創業しました。酒蔵は海岸から約200mの立地にあり、太平洋の波動を感じながら150年以上に渡り酒造りを続けて参りました」(醸造元HPより)
この鳴海はこの日に抜栓。わが家にある同じ千葉の寺田本家の「香取 生酛 自然酒純米90 R1BY」も精米歩合90%という低精白だったが(「2年半以上寝かせた千葉の地酒、香取 生酛 自然酒純米90 R1BYの常温と熱燗で自家製焼き豚とアボカドのサラダ、豆腐とトマトとわかめの酒粕炒め、豚ロース肉の味噌漬けをいただく」)、こちらはそれを超える96%という超低精白。
先に引用した醸造元や杜氏のコメントには、低精白についてあまり言及されていないので、参考のために香取 純米90のラベルにあった説明をここにも引用しておきたい。
「90は精米歩合90%、つまり玄米から10%削っただけのお米のこと。精米歩合90%ではまだタンパク質含有量やミネラル分なども多くあるために雑味が多くなり、お酒造りには適さないとも言われます。
でもそれはお米の美味しさの一つ。その雑味と呼ばれるものが、蔵付きの微生物の生命力と、蔵人たちの匠の技があわさって発酵し、特徴ある酸味と旨みの溢れるお酒に仕上がっております」
さて、そこで迷ったのが、この鳴海をすぐに抜栓するか、抜栓せずに当分の間寝かせておくか。香取は、3年寝かせるつもりで2年半を過ぎたあたりで抜栓したが、結局、今回はすぐに抜栓することにした。
自家製甘酒を使って味つけしたきんぴら。名刀味噌本舗の乾燥 あま酒こうじを使って仕込んだ自家製甘酒、畑醸造の極寒仕込み 北陸(開栓後冷蔵保存で14日目、1か月で使い切るのが理想)、サラダ油、赤唐辛子、ごま油、いりごまなど。
いしり風味の自家製サラダチキンとアボカドの醬(ひしお)和え。サラダチキン、アボカド、紫玉ねぎ、パクチー、自家製醤、すだちなど。
岡山の名刀味噌本舗の乾燥ひしおこうじ「ひしおの糀」と埼玉の弓削多醬油の高麗郷丸大豆醬油を使って仕込み、冷蔵庫で保存している自家製の醤(ひしお)。醤油よりもまろやかで、食材によくなじむ万能発酵調味料。
とくびれの中骨のから揚げと皮の素揚げ。とくびれの骨はあまり硬くなく、揚げるとおいしい。出刃の背で軽くたたいておくと、より食べやすくなるうえ、下処理でとりきれなかった血もとれたりする。皮もサクサク食感を楽しめる。
まずは、抜栓した鳴海 純米96生原酒の常温で。熟成酒かと思うような色がついている。コメントにもあった酢酸イソアミルのバナナを思わせるような香りと、先述の香取にも通じる低精白の香ばしさ、そしてしっかりした酸が、あまり記憶にない独特の風味を醸し出している。
今度は鳴海 純米96生原酒のぬる燗で。錫半のちろりに入れた酒を湯煎で40℃まで上げて、それをお気に入りのごつい陶器の徳利に少し高い位置から注ぎ、徳利を湯に戻してしばらく待つ。最終的な温度は確認しないので、便宜的にぬる燗としている。
やはり酸がポイント。香取の記事で書いたように、熱燗にした香取は燗冷ましが重くなったが(その後、常温保存するうちにその重さもとれた)、この鳴海は酸が効いているので温度が下がっても重くなることはなかった。これからどう変化するのか、しばらく常温で寝かせてみたい。