愛知の地酒、長珍 純米 阿波山田65 無濾過生原酒の燗でめいたがれいの煮つけをいただく――あるいは日本酒の熟成と燗への第二段階

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(※メモの状態のまま埋もれていた下書きをまとめた記事なので、季節感などがかなりずれている場合があります。なかには最低限の備忘録に過ぎない記事もありますが、振り返ってみると、1年半ほどの間にワインから日本酒に魅了されていく過程が見えてきて個人的に後々参考になりそうだったので、整理することにしました)

「長珍 純米 阿波山田65 無濾過生原酒 H29BY」は、芹が谷にある秋元商店で購入。

芹が谷の秋元商店で購入した「長珍 阿波山田65 生 無濾過」のラベル

基本的な情報をまとめておくと(ラベルを参照)、醸造元:長珍酒造株式会社/醸造元所在地:愛知県津島市本町/原材料名:米・米麹/原料米:麹米・掛米 阿波産山田錦全量使用/精米歩合:65%/醪日数:22日/アルコール分:19度/酒度:+8.5/酸度:1.9/製造年月:30.6/仕込31号②。

醸造元のコメント(ラベルより):「このお酒は搾ってからオリを沈殿させ、上澄みを1本ずつ丁寧にタンクから直汲みをした無濾過本生酒です。搾りあがったそのままの味をお伝えするために濾過・割水・火入などまったく手を加えないで蔵出しをしておりますので、早めにお召し上がり下さい」

長珍酒造は明治元年(1868)創業。仕込み水は木曽三川の伏流水。木曽三川とは、濃尾平野を流れる木曽川、長良川、揖斐川の総称。

以前の記事「奈良の地酒、花巴 山廃本醸造 無濾過生原酒で麻婆豆腐や鶏のカレー揚げをいただく――あるいは日本酒の熟成と燗への第二段階」で、あたかもその時点が日本酒の味わい方についての大きな分岐点であったかのように書いてしまったが、その後に整理してきた記事を振り返ってみると、まだずいぶんふらふらしていたことがあらためてわかる。

そこで、再度「――あるいは日本酒の熟成と燗への第二段階」という副題をここで使うことにした。前の記事との違いははっきりしている。無濾過生原酒を常温で保存できることがわかっても、これまでの習慣でそのうちに飲みきってしまう。実際、花巴は飲んでしまった。しかし、この長珍からは熟成を意識し、飲み切ることなくいまも残っていて、常温で置いてある。

前の記事を未読の方のために、肝心の部分を再度、古川修『世界一旨い日本酒 熟成と燗で飲る本物の酒 (知恵の森文庫)』から引用しておくと、以下のようになる。

「酒は冷して保存するのが業界常識であり、酒屋、居酒屋、蔵元ではそうして保存するのが普通だ。これは、ある意味では正しい。温度が高いと劣化する酒が圧倒的に多いからだ。特に、生酒や吟醸酒は冷蔵保存が常識となっていた。ところが、私は日本酒を冷蔵庫には入れていない。通称P箱と呼ばれる、樹脂でできた流通ケースのなかに一升瓶を積めて、床の上に積んであるだけだ(中略)」

「では何故、しっかりとした造りの酒が、常温で、しかも口開けして空気に触れさせても劣化しないのだろうか? それは逞しく育てられた優良酵母によって、完全にアルコール発酵が行われているからだ(中略)」

「このようにして麹と酵母がちゃんと働き、完全発酵した酒は、周りの雑菌に冒されにくい。従って、常温で置いても、開栓して空気に触れさせても、劣化が少なく味乗りが勝って、美味しく熟成していくのである」

せっかくなので、開栓後、常温保存で11ヵ月ほど経過した長珍を引っ張り出して、ちょっと飲んでみた。味がいくぶんまろやかになり、とても美味しかった。長珍は秋元商店のご主人おすすめの銘柄のひとつで、我が家にはこの阿波山田以外にも、酒米が異なる無濾過生原酒がたまってきている。

めいたがれいの煮つけ

本日の料理は、めいたがれいの煮つけ。材料は、めいたがれい、しょうゆ、みりん、砂糖、酒(「澤屋まつもと 厨酒」)、水、しょうがなど。

弘明寺商店街の鮮魚店・作清に行ったら、ご主人からこのめいたがれいをすすめられたので、わたぬきをお願いすると皮もはいでくれた。あとで『海の幸―さかなBEST95・たこ貝BEST35・かにえびBEST20』の「めいたがれい」を調べてみたら、「良し悪しの見方は、他のカレイ類とおおよそ変わらないが、皮やひれの付け根に特有のにおいがあるので、料理方法によっては取り除く必要がある」という説明があり納得。身が厚くて柔らかくて美味しかった。

《引用文献》
● 『世界一旨い日本酒 熟成と燗で飲る本物の酒 (知恵の森文庫)』古川修(光文社、2014年)
● 『海の幸―さかなBEST95・たこ貝BEST35・かにえびBEST20』山口昭彦・解説(山と渓谷社、1987年)




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