「扶桑鶴 特別純米酒 H29BY」は、小田急線・本厚木駅から徒歩約7分のところにある寿屋酒店で購入。
基本的な情報をまとめておくと(裏ラベルなど参照)、醸造元:株式会社桑原酒場/醸造元所在地:島根県益田市中島町/原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)/原料米:神の舞(島根産)78%使用、佐香錦(島根産)22%使用/精米歩合:60%/使用酵母:協会7号/アルコール分:15度/日本酒度:+5.5/酸度:1.8/アミノ酸度:1.7/製造年月:2020.1。
いつも勉強になる寿屋酒店の商品説明(サイトより):
「ど真ん中の純米酒
何気なく旨い。これは寿屋流褒め言葉です。
香りは7号酵母特有の控えめ吟香。味わいはとてもおとなしい旨味で一見地味ですが、杯を重ねるたびに変化を見せ、気が付くと豊かな味わいが顔を見せています。お刺身にもキレの良さがとても合います。燗にすると神の舞の滋味が現れ、辛口の旨燗が楽しめます。
出来ればあと1年寝かせたいところですが、生産量が少なく、適熟を迎える前に終売となってしまうところが今後の課題です。基本の一本をお試しください」
この扶桑鶴は、「島根の地酒、扶桑鶴 特別純米酒 H29BYの燗であかはたといさきの刺身、いさきの塩焼きと潮汁をいただく」のときに抜栓してから常温保存で11日目。
抜栓したときには、桑原酒場のすぐ北に日本海が広がっていることを踏まえて、魚介の料理にしてみた。しかし、反対側を見ると蔵元のある益田市は三方を山に囲まれているといってもいい。山の幸、畑のものも豊かと考えられる。
「鳥取の地酒、辨天娘 生酛純米 若桜町産強力 25番娘 H28BYの飛び切り燗でさばの味噌煮をいただく」の記事で、ふるさと納税を糸口に、蔵元がある若桜町の地元特産品を調べてみて、そういう地域へのアプローチも面白いように思えてきた。
では、桑原酒場がある益田市ではなにが見えてくるか。お礼の品で圧倒的に目立つのが、メロンとぶどう。清流高津川のきれいな水で育てたキャベツ・たけのこ・ほうれん草・レタス・トマトなどの野菜もある。
なかでも気になったのが、「やみつき釜炊塩漬燻製豆腐」(やみつき釜炊塩漬燻製豆腐|ふるさとチョイス参照)。その説明を読むと、「島根県益田市の山里で造られている「真砂のとうふ」は昔ながらの珍しい直火の釜炊きによる手造り工法、島根産大豆100%使用で日々限定生産で当地の「おばあちゃん」の豆腐として認知され」ていて、その豆腐を常温でも日持ちがするように燻製にしたもの。薄くスライスするとハムのような食感で、酒のつまみにもなるとのこと。
熟成した酒にもすごく合いそうなので、覚えておこう。
熱燗の手前まで温めた扶桑鶴で(わが家には辨天娘の平盃しかないのでお許しを)。燗上がりして、海のものにも山のものにも合わせやすい。次は川魚か、なにかの燻製を試そうと思っている。
最近になって以前よりも酒造年度を意識するようになった。2年前に常温保存をはじめて、最も古い「長珍 純米 阿波山田65 無濾過生原酒 H29BY」や「悦凱陣 山廃純米 無濾過生 オオセト H29BY」の味をみて、熟成の旨さが少しは実感できるようになった。
この「扶桑鶴 特別純米酒 H29BY」について、寿屋酒店の商品説明には「出来ればあと1年寝かせたいところですが」とあった。杉田衛保『究極の日本酒 マリアージュで楽しむ純米無濾過生原酒16本』の悦凱陣の紹介には、「讃州雄町は三年熟成ぐらいがちょうどよくなります」という記述がある。
もちろん、火入れと生酒、プロの蔵での熟成と素人の常温保存を一緒くたにすることはできないが、それでも3年がひとつの目安になるように思える。そういう意味で、いまはH29BYとH28BYの境界がとても気になっている。
《参照/引用文献》
● 『究極の日本酒 マリアージュで楽しむ純米無濾過生原酒16本』杉田衛保(花伝社、2016年)
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