これはちょっと前の話。筆者が隣駅前のFUJIスーパーの植木コーナーに定期的に立ち寄るのは、オリーブの木が置いてあるからでもあったのだが、売れ残った木がだんだんくたびれていくのが気になるようになった。そしてある日、2000円のミッションが半値になっていた。
以前であれば、わざわざくたびれたオリーブの木を買うようなことはしなかったと思うが、モート・ローゼンブラムの『オリーヴ讃歌』を読んで、枯れかけたオリーブの古木を甦らせようとする著者や彼が出会う情熱的なオリーブ栽培家、そしてオリーブそのものの生命力に感化されたようで、売れ残りのオリーブが見離せなくなった。
結局、ミッションとそれより少し状態がよさそうなマンザニロを購入した。それぞれの木の特徴を、手元にある岡井路子『決定版 育てて楽しむ オリーブの本』から引用しておく。
ミッション(Mission)は、アメリカ合衆国原産で、果実は中型。「寒さにとても強く、ハート型のかわいらしい実がつく。樹形は直立型でバランスよく成長するので、シンボルツリーに向く。スリムなのでベランダなど狭い場所にも向くが、樹高が高くなるので剪定で高さをとめて育てるとよい。1本では結実しにくいので、実を楽しみたいなら、別品種をいっしょに育てること。葉は大きめで、裏の白色が強い。果実の油の含有量は15~19%。香りがよい油がとれるため、オイル用として人気が高いほか、塩漬けなどにするとコリコリした食感が楽しめる」
マンザニロはスペイン原産で、果実は大型。「世界中で栽培され、日本での入手も容易。油の含有量は9~14%。スペイン語で『小さなりんご』という意味を持っており、丸い実をつける。樹形は開帳型で、しだれるような枝に小さめの葉を密につける。樹高が低めなので栽培・収穫がしやすく、実つきもたいへんよい。この品種だけでは結実しにくいので、受粉樹をいっしょに育てるとよい」
どちらの木も長いあいだ狭い所に置かれてたため、形が崩れ、葉が落ちている部分などもある。まずはよく日にあて、だめになった枝を切り落とし、様子を見ている。マンザニロは、葉が落ちた枝からも芽を出し、早く形を整えられそうだ。ミッションの方は大胆な剪定が必要なのかも知れない。
《参照/引用文献》
●『決定版 育てて楽しむ オリーブの本』岡井路子(主婦の友インフォス情報社、2014年)
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