「マルケス・デ・グリニョン カリーサ 2012」は、上大岡の京急百貨店で10月上旬(2017)に開かれていた“世界のワインフェア”で購入。今回で40回目を迎えるらしいが、筆者とパートナーは初めて足を運んだ。なんとなくスペインワインのコーナーに引き寄せられ、何本か試飲させてもらい、どれも美味しくて迷ったが、これともう1本(そちらはまた別記事で)を購入した。
基本的な情報をまとめておくと(インポーターであるスコルニ・ワインの商品説明を参照)、生産地:スペイン、カスティーリャ・ラ・マンチャ、ドミニオ・デ・バルデプーサ、生産者:マルケス・デ・グリニョン(Marques de Grinon)、品種:シラー40%、プティ・ヴェルド30%、グラシアーノ30%、熟成:フレンチオーク小樽/9ヶ月、その後1年間瓶熟成、タイプ:フルボディ、料理:地中海風のパスタ、リゾットやあらゆる種類のタパス(おつまみ)その他、鶏肉や狩猟肉など。
インポーターのコメント:「チェリー色を放つ深い紫色。アロマは複雑で深く、森の果実や溢れるほどの熟したチェリー、リキュールに漬けたチェリーが、ほのかなミネラルとハーブ、 アニスやクローブなどのスパイスによって繊細に補われている。口に含むと絹のように滑らかで個性を持ち、口一杯に広がる。それでいてボディがしっかりしていて、肉感的、長い余韻が楽しめるワイン」
マルケス・デ・グリニョンのオーナーは、現代的なスペインワインのパイオニアといわれるカルロス・ファルコで、現グリニョン侯爵でもある。会社のロゴに1292と刻まれているように、侯爵家のルーツは1292年までさかのぼる。侯爵家の所有地であるドミニオ・デ・バルデプーサは、先祖の軍功によって後にポルトガル王ペドロ1世になるカスティーリャ王から与えられたもの。先祖はその土地にぶどうやオリーブの木を植えた。
カルロス・ファルコは1937年、セビリア生まれ。子供時代には、後にスペイン王になるフアン・カルロスとよく遊んでいたという。その後、50年代にベルギーのルーヴェン大学で農学を学び、さらにカリフォルニア大学デイヴィス校の大学院に進み、そこで1964年にカリフォルニアワインのエキスパートであるメイナード・アメリン博士に出会い、それがワインに情熱を注ぐきっかけとなった。
スペインに戻り、家督を継いだファルコは、事業のひとつとしてフランスからグラニースミス種のりんごの苗木の輸入を進めるうちに、アメリン博士から教えられたカリフォルニアにおけるカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネの成功を思い出し、新たなぶどうの栽培に乗り出す決意をする。当時は、フランスとスペイン双方で、移植が禁じられていたため、彼はカベルネ・ソーヴィニヨンをりんごの苗木に隠して取り寄せ、栽培を始めた。1974年にカベルネ・ソーヴィニヨンを植え、その後、1991年にシラー、1992年にシャルドネとプティ・ヴェルド、2000年にグラシアーノを植えていった。
そんなファルコは、本国ではワイン以外でも過去に大きな注目を浴びている。1980年に、かつてフリオ・イグレシアスと結婚していたセレブ、イサベル・プレイスラーと出会って結婚したことから、プレイボーイのレッテルを貼られて騒がれ、自分が売り出すワインが市場から真剣に受け止められないのではないかと不安を覚えたりもしたらしい。(生産者の紹介が途中だが、長くなりそうなので、また別記事で続きを書くことにする)
▼ こちらがマルケス・デ・グリニョンのプロモ動画。オーナーのファルコ自身が案内人を務めている。ぶどう畑、収穫、テイスティングなど。(スペイン語)
▼ こちらもファルコが案内人をつとめる紹介動画。マルケス・デ・グリニョンはオリーブオイルでも有名で、後半はそちらに話題が移り、見事なオリーブの木が眺められる。スコルニ・ワインはそのオリーブオイル(オレウム・アルティスの商品説明)も扱っている。(スペイン語)
試飲して購入したワインだが、あらためて重厚で、深い味わいがあり、美味いと思う。本日の料理は、牛バラ肉のブルギニオン。
『フライパンひとつ・鍋ひとつ 本格派フランス料理集 (暮しの設計 NO.227)』に、「牛バラ肉のブルギニオン」として紹介されていた料理(レシピと少し食材を変えている)。材料は、玉ねぎ、にんじん、マッシュルーム、しいたけ、ひらたけ、バター、薄力粉、牛バラ肉、オリーブオイル、にんにく、赤ワイン、砂糖、水、塩、黒こしょう、白こしょう、パセリなど。
料理の説明に、大量の赤ワインをきちんと煮詰めると、フォン・ド・ヴォーを使わなくても充分においしく出来上がるとあるが、確かにその通り。赤ワインを煮詰めるのに時間はかかるが、コクがあって実に美味かった。
《参照記事リンク》
● The Pioneer Spirit | Decanter