いろいろなタイプの自家製ザワークラウトをつくっていると、キャベツだけではなく他の野菜も塩だけで発酵させて、おいしく食べられるのではないかと思えてくる。
筆者が、たまたまスーパーで見かけてこれはどうかと思ったのが紅しぐれ大根。スライスして甘酢漬けにする食べ方があるのを知って、それならザワークラウトと同じように塩だけで発酵させることもできるのではないかと思った。
塩と混ぜ合わせた紅しぐれを、エタノールで消毒した容器に隙間なく押し込むように詰めていき、重しをする(このときは煮沸消毒して水を入れたジャムの瓶)。これだけでも紅しぐれからけっこう水分が出てきているが、今回はこれに少しだけ足したものがある。ヒントになったのは、サンダー・エリックス・キャッツの『サンダー・キャッツの発酵教室』のザワークラウトに関する以下の記述。
「つくりかたを覚えたら、仕込みのリズムをつかもう。先につくったパッチ(一度の仕込みぶん)を全部食べ終える前に、新しいパッチを仕込むとよい。ぼくは、新しいザワークラウトを仕込むとき、古いパッチからザワークラウトの漬け汁をちょっと取り出して、新しいキャベツに混ぜてから容器に詰める。その漬け汁が、すでに活動中の菌を含んだスターターとなり、新しいザワークラウトの発酵を促進してくれるのだ」
この紅しぐれを仕込む前日につくった料理が、スペアリブと自家製ザワークラウトのシュークルート風煮込み(「兵庫の地酒、竹泉 但馬強力 生酛 純米 生酒 2019BYの熱燗でサラダチキンとアボカドときゅうりのキムチ和え、スペアリブと自家製ザワークラウトのシュークルート風煮込みをいただく」)。この料理ではザワークラウトの漬け汁を切ってから使うが、その漬け汁を紅しぐれに少し足してみた。
すると容器のなかで紅しぐれは、だんだんと紫から鮮やかなピンク色に変わっていき、酸味も出てくる(写真は仕込んでから2日後のもの)。「紅しぐれ大根/ベニシグレダイコン|旬の野菜百科」には、「スライスしたものを酢に浸すと赤い色がより鮮やかに成ります」とあるので、これは同じような変化と考えてよいのだろう。ちなみに、「この紫色の色素はアントシアニンで、青首大根と比べ約3倍の抗酸化作用があるとされています」とのこと。
発酵紅しぐれは、そのまま食べてもおいしいが、それなりの量ができるので、他の食べ方はないかと考え、ヨーグルトソースに使ってみることにした。わが家では、「クビンス ヨーグルト&チーズメーカー KGY-713SM KGY-713SM」を使うようになってから、真藤舞衣子『免疫力が上がる、おいしくなる からだが整う発酵おつまみ (立東舎 料理の本棚)』で紹介されていたヨーグルトソースをサラダにかけるのが定番になりつつあったが、その材料の玉ねぎを発酵紅しぐれのみじん切りに変えて、ヨーグルト、塩麹、発酵紅しぐれ、こしょうでつくったら同じようにおいしくいただけた。
《参照/引用文献》
● 『サンダー・キャッツの発酵教室』サンダー・エリックス・キャッツ 和田侑子/谷奈緒子(ferment books、2018年)
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