(※メモの状態のまま埋もれていた下書きをまとめた記事なので、季節感などがかなりずれている場合があります。なかには最低限の備忘録に過ぎない記事もありますが、振り返ってみると、1年半ほどの間にワインから日本酒に魅了されていく過程が見えてきて個人的に後々参考になりそうだったので、整理することにしました)
筆者は日本酒を季節にかかわらずもっぱら燗で飲んでいるが、これまで燗をつける酒器について考えたことがなかった。窯元巡りや陶器市で手に入れた徳利や片口があったので、当たり前のようにそれらを使っていた。
だから秋元商店のご主人に、錫製のちろりで燗すると違うと言われてもあまりピンとこなかったし、実際に飲み比べてみても自分のような初心者には違いがわからないのではないかと思っていた。ところがいざ飲んでみると、明らかに違う。錫製のちろりで燗したほうが、まろやかで美味しかった。
いつも燗で飲んでいるのに、これはとんでもなくもったいないことをしていると思い、さっそく錫製のちろりを探すことにした。ご主人が使っているのは、「錫半」のちろり。錫半は江戸時代からつづく老舗だったらしいが、90年代半ばに廃業していて、手に入れたければヤフオクや骨董品店をあたるしかない。
そこでネットを探したら、石川県の骨董品店に未使用ではないかと思えるちろりが1600円という手頃な価格で出ていたので、すぐに購入した。届いたちろりは、経年のすれや汚れもなく、とても良い品だった。それ以来、燗をつけるときにはずっとこの錫半のちろりを使っている。これは手放せない。