自家製ザワークラウトは、最初はつくったものを食べ切っていたが、いまではその漬け汁を新たに仕込むザワークラウトに加えるようにしている。何度も引用しているが、そのヒントになったのは、サンダー・エリックス・キャッツの『サンダー・キャッツの発酵教室』の以下の記述。
「つくりかたを覚えたら、仕込みのリズムをつかもう。先につくったパッチ(一度の仕込みぶん)を全部食べ終える前に、新しいパッチを仕込むとよい。ぼくは、新しいザワークラウトを仕込むとき、古いパッチからザワークラウトの漬け汁をちょっと取り出して、新しいキャベツに混ぜてから容器に詰める。その漬け汁が、すでに活動中の菌を含んだスターターとなり、新しいザワークラウトの発酵を促進してくれるのだ」
それと同列に考えてよいかわからないが、レーズン酵母エキスでも継ぎ足しをはじめた。
「天然酵母でパンをつくるために、まずはクビンスのヨーグルトメーカーでレーズン酵母をつくってみる」でつくったエキスは使い切ったが、「今度はヨーグルトメーカーを使わず冬場の常温でレーズン酵母を起こし、生地に使ってカンパーニュ風やノルマーレなどのパンやピザを焼いてみる」のエキスは取り分けて、次に仕込むレーズン酵母に加えた。その効果は発酵の促進だけではないようだ。
斉藤ちえ『京都「CHIPPRUSON」の天然酵母パン 初めてでもおいしく焼ける』では、以下のように説明されている。
「最初に作ったレーズン液種は、「種継ぎ」用に15g取り分けておきましょう。種継ぎを何年も繰り返すことで作り手が暮らす土地や家屋などの環境に酵母が適応し、パンの味わいも少しずつ変化していきます。生地の発酵が遅れる、焼いたパンが膨らまないなどの失敗も減ってきますので、最初のレーズン液種で安定したパンが焼けなくても、あきらめずに種継ぎを繰り返してみてください」
その中種を使った生地で焼いたカンパーニュ。今回はクミンシードを練り込んだ。表面にもクミンシードの粒々が見える。
パンと並行してタンドリーチキンやスパイスカレーも仕込んでいたが、それについては別記事で。
ゆず酵母(「じっくり発酵させた自家製塩ゆずにつづいて、今度はゆずから酵母を起こし、中種法でその塩ゆずを練り込んだカンパーニュを焼いてみる」)とかになると、出回る時期が限られるので難しいが、いま保存しているレーズン酵母やりんご酵母、発芽玄米酵母などであれば種継ぎしていくことができそうだ。
《参照/引用文献》
● 『サンダー・キャッツの発酵教室』サンダー・エリックス・キャッツ 和田侑子/谷奈緒子(ferment books、2018年)
● 『京都「CHIPPRUSON」の天然酵母パン 初めてでもおいしく焼ける』斉藤ちえ(世界文化社、2018年)
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