発酵に関して筆者が参考書にしているサンダー・エリックス・キャッツの『サンダー・キャッツの発酵教室』の最初のほうに以下のような記述がある。
「世界中のほとんどの人がそうであるように、ぼくも発酵食品を食べて育った。子ども時代の好物のひとつは、ニンニクやディルと一緒に新鮮なキュウリを発酵させる東欧スタイルのピクルス。サワー・ピクルスと呼ばれ、古めかしいデリで売られていた。ぼくにとって、それはスーパーマーケットの棚に並ぶビネガー・ピクルスより断然おいしかったが、どうやってつくられているのかは知らなかった。当時は、食べものについて疑問を抱くことなどほとんどなく、ただ食べるだけだったのだ。しかしやがて、こうした生きた微生物による発酵食品に、免疫を活性化し、消化も促進する効果があることを学び始め、さらに、そのつくりかたが意外なほど簡単なことを知るようになる」
今回はこの酢を使わない発酵ピクルスをつくってみた。「大阪の地酒、奥鹿 生酛 山田錦六〇 無濾過原酒 H28BYの熱燗で塩麹に漬けたスペアリブと自家製ザワークラウトの煮込み、自家製ゆず酵母といちご酵母のパンをいただく」のなかで予告していたのがこのピクルス。
タイトルに「最小限の塩と水」とあるのは、減塩とかを意識したということではない。ネットを調べれば発酵ピクルスに必要な塩の量もすぐにわかるだろうが、今回は自己流での実験。
キャベツと塩だけでザワークラウトをつくるときの塩の量はキャベツの重さの2~3%。そこで今回は、ピクルスの材料になるきゅうり、セロリ、にんじん、大根の重さの3%の塩を用意。ただしこの材料では、キャベツのようには水分が出てこないので、材料がひたひたになるまで浄水を足す。
塩分が低くなるが、これに常備している赤系の発酵大根(このときは紅芯大根)の漬け汁を少し足してスターターにしたらちゃんと発酵するか? という実験。ちなみに、漬け汁を使った発酵紅芯大根は、「紅しぐれ、紅くるりにつづいて紅芯大根を自家製ザワークラウトと同じような方法で発酵させ、そのまま食べたり、ヨーグルトソースの材料として使ってみる」のときにつくったものを使い切り、その次に仕込んだもの。
《参照/引用文献》
● 『サンダー・キャッツの発酵教室』サンダー・エリックス・キャッツ 和田侑子/谷奈緒子(ferment books、2018年)
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