「香取 生酛 自然酒純米90 R1BY」は、東急線・新丸子が最寄り駅になる田原屋酒店で購入。
基本的な情報をまとめておくと(裏ラベルや醸造元ホームページの商品説明を参照)、醸造元:株式会社寺田本家/醸造元所在地:千葉県香取郡神崎町神崎本宿/原材料名:米(国産)・米麹(国産米)/麹米・掛米:コシヒカリ、雪化粧等/精米歩合:90%/麴菌:自家培養/使用酵母:無添加/アルコール分:15度/日本酒度:+4~+7/酸度:3.0~6.0/アミノ酸度:2.8~3.5/酒造年度:R1BY/杜氏:横坂安男/製造年月:2020.7。
蔵元のコメント(ラベルより):「無添加・無濾過の純米90香取
無農薬無化学肥料栽培の米と蔵の井戸水のみを原料にし、蔵内の微生物だけの力でつくるお酒のことを私たちは「自然酒」と呼んでいます。
90は精米歩合90%、つまり玄米から10%削っただけのお米のこと。精米歩合90%ではまだタンパク質含有量やミネラル分なども多くあるために雑味が多くなり、お酒造りには適さないとも言われます。
でもそれはお米の美味しさの一つ。その雑味と呼ばれるものが、蔵付きの微生物の生命力と、蔵人たちの匠の技があわさって発酵し、特徴ある酸味と旨みの溢れるお酒に仕上がっております」
首かけポップのコメント:「試してみて美味しかったら、それは、自然の味だからです。
私たちは酒造りを自然の力に学びました。人の手が加わるほど、本来持っていたはずの自然の色が、あせてしまうような気がします。自然の恵みを受けながら、みなさまの健康を心から願い、丹精込めてつくりあげました。
自然に学ぶ酒造り 延宝年間創業 蔵元 寺田本家」
千葉の蔵元・寺田本家の酒に興味を持ったのは、この蔵元の蔵人(だった)なかじ著『寺田本家の酒粕(さけかす)レシピ』を読み、そこで紹介されていた酒粕ペーストを使ったレシピで料理をつくっていたことも大きい(「万能酒粕ペーストを使って、キャベツとお揚げのクリーミー酒粕炒め、春雨と厚揚げのトマトクリーム炒め、切り干しときゅうりの酒粕納豆和え、かぼちゃのクミンクリーム煮などをつくる」)。
筆者が選んだのは、精米歩合90%の「香取 生酛 自然酒純米90 R1BY」。それをすぐに抜栓せずに寝かせていたのには理由がある。田原屋酒店でこの酒を購入するときに、ご主人と少し話をし、この酒を3年から5年ほど寝かせてから飲むお客さんがいることを教えてもらった。それも面白いと思い、2年半以上寝かせておいた。
この香取 純米90は、「2年半以上寝かせた千葉の地酒、香取 生酛 自然酒純米90 R1BYの常温と熱燗で自家製焼き豚とアボカドのサラダ、豆腐とトマトとわかめの酒粕炒め、豚ロース肉の味噌漬けをいただく」のときに抜栓してから5か月と5日ほど。
料理にいく前に発酵にまつわるこの日の作業。
清水紫織著『発酵料理のきほん』に刺激を受けて、万能発酵調味料「醤(ひしお)」を仕込んだことは、前の前の記事で書いたが、10日から2週間ほどかかると思っていたら、4日ほど仕事が立て込んであたふたしているうちに1週間足らずで完成してしまった。気温が高かったせいだろう。
完成した醤は、醤油や味噌の原点ともいわれるのがわかるような味で、とてもまろやか。今回は仕込みに、埼玉の弓削多醬油の高麗郷丸大豆醬油を使ったが、井上古式じょうゆとか百寿とか、違う醤油を使ったら、また微妙に風味が違ってきそうで面白い。
今回、仕込みに使った岡山の名刀味噌本舗の乾燥ひしおこうじ「ひしおの糀」のパッケージ裏には、醤(ひしお)の使い方について以下のような説明がある。
自家製ひしおは、万能発酵調味料として活用しましょう。
● 生の野菜にそのままつけて。 ● 野菜を漬けてお漬物に。(野菜はあらかじめ塩で水分を抜いておきましょう) ● 炒めもの、チャーハンの味付けに、ひと匙。 ● 肉・魚などを調理前に漬けこんで柔らかく。 ● 自家製ひしおはご家庭にある調味料を混ぜたり、自分流にアレンジしてお楽しみいただけます。
その前に、石川県のアンテナショップ「いしかわ百万石物語・江戸本店」で購入した潮屋の「炙ほたるいか いしる仕立」と「炙甘えび いしる仕立」。
京都の飯尾醸造の純米富士酢を使って仕込んで瞬冷凍してあったしめさばの炙りと黒豆味噌の上澄みをブレンドした醤油「京丹波六右エ門 黒大豆みそたまり」。
かつおなまり節とアボカドとパクチーの醤(ひしお)和え。清水紫織著『発酵料理のきほん』で紹介されている「アボカドパクチーの醤和え」のアレンジ。アボカドとパクチーに裂いたなまり節も加え、醤(ひしお)で和え、すだちを少ししぼった。
かつおなまり節と大根の煮物。手本にしたのは「なまり節と大根の煮物|DELISH KITCHEN」。醤油は吉野杉樽天然醸造醬油(開栓後冷蔵保存で49日目、1か月で使い切るのはなかなか難しい)、みりんは三州三河みりん、砂糖は普通の三温糖、酒は澤屋まつもと厨酒。
食材がかつおなまり節でありながら、土佐の酒の味わいとはかけ離れているであろう香取 純米90 R1BYの熱燗で。わが家で2年半くらい寝かせて、抜栓時と2度目は、温度を上げたときはとてもよかったが、燗冷ましが鈍く重くなってしまった。それから3か月以上経過し、燗冷ましからもだいぶ重さがとれている。やはり3年というのがひとつの基準になりそうだ。
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