「漁港巡り」というのは大げさで、単にこれまで海か山かといえば、自然と山に足が向いていたのが、漁港も面白いのではないかと思い、歩いてみることにしただけのこと。比較的近い漁港で真っ先に思い浮かんだのは三崎港。下調べはほぼゼロ。京急のみさきまぐろきっぷがお得だとは聞いていたが、今回はそれも使わず、予備知識なしの行き当たりばったりで散歩を楽しむ。
9時半頃に京急の三崎口駅に到着。すでに列ができているバス停に並ぶ。
三崎港バス停で下車。バス停付近からの眺め。
まだマップも手に入れてなかったので、情報がありそうな建物に向かう。その建物「うらり」は、1階がさかな館、2階がやさい館になっていて、三浦のマグロ、地魚、海産物、三浦野菜の販売所になっていた。
三崎港に着いたらすぐに食事をするつもりで出てきたので、手に入れたマップをたよりに食事処をさがすが、開いている店がなかなか見つからない。三崎下町商店街を進んでいくと、紀の代という店が11時開店になっていたので並ぶことにする(写真は、食事を終えて店を出てから撮ったものなので、すでにのれんが出ている)。
筆者は地魚寿司を、パートナーは選べる二種の小鉢丼を注文。すでに外が暑くなっていたのでビールがうまい。地魚寿司は、マグロ3種(インド、メバチ、ビンチョウ)、金目、あじ、さば、地だこ、中落ち、玉子。マグロがガッツリでなくてもよければ、マグロの食べ比べができて、地魚も味わえるこの選択は悪くない。
紀の代のわきの道から海辺に出て、海沿いの道を通ってうらりに戻る。この道からは、城ヶ島大橋と城ヶ島が眺められる。
この海沿いの道は、石碑や石の祠が祀られているのが目につく。民俗学や山岳信仰に興味がある人間としてはやはり気になる。
驚きだったのが、このオリーブの木。大きな実がたくさんなっていて、しばらく見とれてしまった。
うらりに戻ってしばらく休憩し、今度は下町商店街とは反対のエリアを歩いてみる。こちら側には、三崎水産物地方卸売市場がある。あらためて調べてみたら、「三崎水産物地方卸売市場2階三崎「魚市場食堂」がオープンしました!」という記事を見つけた。今度、三崎港に行ったら寄ってみたい。
三崎水産物地方卸売市場のそばにも石の祠が祀られていた。
夕食もここですますつもりで、周辺の店を見て歩く。写真は、割烹旅館 立花本館の店先のメニュー。
細い道を歩き回るうちに、海南神社にたどり着く。
樹齢約800年の見事なご神木。源頼朝手植えとされる雌雄のご神木があり、こちらは雌株のご神木。
海南神社の本殿、幣殿、拝殿。筆者が興味を覚えるのは、主祭神・藤原資盈公が海とどのように結びついているかということ。資盈公は、皇位継承争いに巻き込まれて、この地に逃れてきたらしい。神社のパンフレットにはその後が以下のように綴られている。
「その後、資盈公は土地の長に推戴され、房総の海賊を平定し、郷民を教化して特に漁業の知を開き、文化の礎を築くなど福祉に努力したので、郷民の尊崇の念も篤く、貞観八年(八六六)に公が歿すると、その亡骸を海に沈め、祠を花暮海岸に建立して祀った。後、花暮の祠を本宮として天元五年(九八二)に現地に社殿を造営し、三浦一郡の総社となる」
海南神社からうらりマルシェに戻り、さかな館で買い物をして、下町商店街に行ってみたら、出店がたくさん並んでいて、様子ががらりと変わっていた。われわれはたまたま、夏に開催される「みうら夜市」の日に散歩にきていたのだった。そこで、商店街を往復して、ビール片手にまぐろトロちまきや串焼きやフライなどを食べ歩いた。バス停がある三崎公園に戻ってくると、バス停の列が見る見る伸びていくのに気づき、すぐに並んだ。それ以上ゆっくりしていたら、バス停でかなり待たされることになっただろう。
うらりのさかな館では海産物をいろいろ買い込んできたが、生マグロはその日のうちにおいしくいただいた。