奈良の地酒、花巴 山廃本醸造 無濾過生原酒で麻婆豆腐や鶏のカレー揚げをいただく――あるいは日本酒の熟成と燗への第二段階

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(※メモの状態のまま埋もれていた下書きをまとめた記事なので、季節感などがかなりずれている場合があります。なかには最低限の備忘録に過ぎない記事もありますが、振り返ってみると、1年半ほどの間にワインから日本酒に魅了されていく過程が見えてきて個人的に後々参考になりそうだったので、整理することにしました)

「花巴 山廃本醸造 無濾過生原酒 29BY」は、芹が谷にある秋元商店で購入。

芹が谷の秋元商店で購入した「花巴 山廃本醸造 無濾過生原酒 29BY」のラベル「花巴 山廃本醸造 無濾過生原酒 29BY」の裏ラベル

基本的な情報をまとめておくと(裏ラベルなどを参照)、醸造元:美吉野醸造株式会社/醸造元所在地:奈良県吉野郡吉野町/原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール/原料米:奈良県産契約栽培米100%使用/精米歩合:70%/アルコール分:20度/酵母:無添加/製造年月:2018.1。

醸造元のコメント(裏ラベルより):「じっくり寒仕込みで醸す「山廃」の酒は、米の旨味・甘味・苦味・渋味を最大限に引き出す酒造りだと考えます。フレッシュな酸から熟果の様なまろやかな酸まで幅広い酸質が特徴です。そのパワーあふれる複雑味を本醸造によりマイルドに仕上げ、搾ったままの無濾過生原酒は爽やかな果実味の飲み飽きしない親しみやすい酒です」

ここではまず、記事のタイトルにある「――あるいは日本酒の熟成と燗への第二段階」の意味を説明しておきたい。第一段階にあたるのは、「冷して飲んでいた日本酒を燗して飲むようになる最初の転換期のまとめ」に書いた燗への目覚めで、それにつづいてまた飲み方に変化があったということだ。

これまで無濾過生原酒は四合瓶ばかりで、一升瓶で購入したことはなかった。自宅の冷蔵庫に入らないからだ。では、一升瓶を購入する人はどうやって保存しているのか。これは日本酒初心者がいだく素朴な疑問だろう。秋元商店のご主人は親切になんでも教えてくれるので、率直に尋ねてみた。

どうしても冷蔵したければ四合瓶などに入れ替えて冷蔵庫で保存することもできるが、常温で保存しても問題ない、というのがその答だった。それから、常温で年単位で長期保存された酒を実際に試飲させていただいた。これは初心者には衝撃だった。

もちろんラベルに要冷蔵とあるのだから、常温保存は自己責任ということになるのだろう。また、どんな酒でも常温保存できるというわけでもない。そこらへんのポイントを、後にご主人から教えていただき、大切な参考書になっている古川修『世界一旨い日本酒 熟成と燗で飲る本物の酒 (知恵の森文庫)』から引用しておきたい。

「酒は冷して保存するのが業界常識であり、酒屋、居酒屋、蔵元ではそうして保存するのが普通だ。これは、ある意味では正しい。温度が高いと劣化する酒が圧倒的に多いからだ。特に、生酒や吟醸酒は冷蔵保存が常識となっていた。ところが、私は日本酒を冷蔵庫には入れていない。通称P箱と呼ばれる、樹脂でできた流通ケースのなかに一升瓶を積めて、床の上に積んであるだけだ(中略)」

「では何故、しっかりとした造りの酒が、常温で、しかも口開けして空気に触れさせても劣化しないのだろうか? それは逞しく育てられた優良酵母によって、完全にアルコール発酵が行われているからだ(中略)」

「このようにして麹と酵母がちゃんと働き、完全発酵した酒は、周りの雑菌に冒されにくい。従って、常温で置いても、開栓して空気に触れさせても、劣化が少なく味乗りが勝って、美味しく熟成していくのである」

話はちょっと長くなったが、そういうことで無濾過生原酒の一升瓶を購入することに決めた。もちろん家では常温で保存する。そこで、「花巴」を選んだのにもまた別な理由がある。「愛媛の地酒、石鎚 吟醸 夏吟 槽搾りでイワシのタルタルや梅煮、スルメイカのフライやバターしょうゆ焼きなどをいただく」で、筆者は以下のように書いた。

「それを選んだのは、その酒のことを知っていたからではなく、石鎚山に登ったことがあったからだが、山と日本酒の繋がりというのもなかなか面白い。いい山の麓にはいい水があり、稲作とも結びついているからだ。そうなると山岳信仰と日本酒の関係というのも気になってくる。そういう連想は、日本酒に惹かれる要因になっている」

美吉野醸造の公式サイトの蔵案内には、「花巴」の由来について、以下のような記述がある。

「千本桜で全国的にも名が知られる吉野山。その吉野の桜はほとんどが山桜で、修験道の開祖 役行者が日本独自の仏である金剛蔵王権現を祈りだした時、その姿をヤマザクラの木に刻みお祀りしたことから、以来、蔵王権現や役行者に対する信仰の証として信者たちによって献木として1本1本と植え続けられたことで、その美しき桜の風景がつくりあげられてきました」

蔵元を紹介するテキストのなかに、まさか役行者(えんのぎょうじゃ)が出てくるとは思ってもいなかった。山岳信仰にも興味をもって山に登っていると、いろいろな山に役行者の逸話があることがわかってくる。筆者もこの修験道の開祖に強い関心を持っている。だからこの蔵にも興味を覚えていた。

その役行者とは関係ないが、この酒を飲んで、これまで以上に日本酒の酸に興味を持つようになった。裏ラベルのテキストには、酸へのこだわりが表れている。

「紀伊半島は、山深い立地ゆえに様々な醗酵食文化が根付いています。「花巴」は、吉野の醗酵食文化と共にある酒造りを目指す中、自然の淘汰と共存を意識した“酵母無添加”製法にたどりつきました。それは正に『酸を抑制せず、酸を開放する酒造り』。山廃・水酛・速醸という3つの製法が持つ、酸の表現を引き出し、酸っぱいのではなく、心地良い酸と旨味が同調した味わいです。ぜひ、酵母無添加の「花巴」がもつ、多種多様な酸の表現に触れ、新しい美味しさに出会って頂きたいと願います」

牛肉の薄切り肉を使った麻婆豆腐

本日の料理はまず、牛肉の薄切り肉を使った麻婆豆腐。『別冊家庭画報 やさしい中国料理』(1985年刊のかなり古い本)に、「麻婆豆腐」として紹介されていた料理にならったもの。材料は、豆腐、牛薄切り肉、にんにく、パセリ、豆板醤、しょうゆ、こしょう、化学調味料、砂糖、酒、片栗粉など。

鶏もも肉のカレー揚げ

こちらは、鶏もも肉ノカレー揚げ。同じく『別冊家庭画報 やさしい中国料理』(1985年刊のかなり古い本)に、「とりのカレー揚げ」として紹介されていた料理にならったもの。材料は、鶏もも肉、カレー粉、砂糖、しょうゆ、酒、塩、揚げ油、レモン、じゃがいもなど。

《参照/引用文献》
● 『世界一旨い日本酒 熟成と燗で飲る本物の酒 (知恵の森文庫)』古川修(光文社知恵の森文庫、2014年)




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