2018年春 札所と陶器と酒蔵を巡る益子散歩 その一:真岡鐵道・益子駅から坂東三十三観音 第20番札所 獨鈷山普門院西明寺へ

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毎年、春と秋に開催される益子の陶器市には、よく窯元巡りをしていた頃に一度だけ行ったことがある。20数年も前のことであまりよく覚えていないが、そのときに購入した器はいまでもよく使っている。

手羽中大根

これが益子の陶器市で買った大鉢のひとつ。

あさりと小松菜の煮びたし

これも益子の陶器市で買った大鉢。どちらも1000円くらいだったと思う。

なかには、買ってから一度も使わず、やたらと場所だけとっている大鉢もあるが――。

それで、すごく久しぶりに益子の陶器市に行ってみることにした。横浜から益子まではかなり時間がかかる。早起きして5時台に出発。東海道本線、宇都宮線、水戸線、真岡鐵道と乗り継いで9時前に益子駅に到着。

益子駅に到着

こんなモダンな駅舎だっただろうかと思って調べてみたら、平成10年3月に改築されていた。前に陶器市に来たときは旧駅舎だったはずだが、どんな建物だったかまったく思い出せない。

駅で陶器市のマップを手に入れ、それを頼りに城内坂方向への道を進む。

地酒 岡田酒店

帰りに時間があったら寄ろうと思ってチェックしていた「地酒 岡田酒店」。結局、寄れなかった。

勝負必勝の神様 鹿島神社

城内坂に向かう道の途中にある鹿島神社。勝負必勝の神様とのこと。

城内坂の交差点(益子駅より約1.1km)

広々とした城内坂の交差点に到着。ここを渡って直進すれば、両側に店が並ぶ城内坂通りになるが、今回、久しぶりに益子を訪れることにした目的は陶器市だけではない。

益子近辺には、坂東三十三ヶ所の第20番札所 獨鈷山西明寺がある。このブログをはじめてからはどこにも行っていなかったが、坂東三十三ヶ所については、これまでに12ほどの札所をまわっている。

城内坂交差点から西明寺に向かう

今回は札所巡りもできるということで、まずは城内坂の交差点を右折し、西明寺に向かう。

西明寺に向かう道からの眺め

交差点から少し進むと、田んぼや畑、山々という緑豊かな風景に変わる。

写真は西明寺の手前、登り道にさしかかったあたりからの眺め。

益子駅から西明寺までは約3.5km。タクシーだと10分ほどだが、われわれはもちろん歩き。せめてこれくらいは歩いておかないと巡礼の気分にはならない。

西明寺の休憩所・獨鈷處(どっこいしょ)

つづら折りの道を登って西明寺に到着。巨木のわきに建っているのは休憩所・獨鈷處(どっこいしょ)。納経所もここにある。

西明寺の石段を上る

西明寺の石段を上る。西明寺は獨鈷山(とっこさん)の中腹にある。

天然記念物 西明寺の椎林叢

天然記念物 西明寺の椎林叢。説明板には以下のように書かれている。

「高館山周辺は県内でも暖かく、西明寺周辺ではシイ・カシ・ツバキなどの暖地性常緑広葉樹林が見られます。
 参道石段の左右にある、周囲2m以上の椎林が、昭和32年(1957年)に県天然記念物の指定を受けています。
 また、この椎林の中には、アラカシ、シラカシ、ウラジロガシ、アカガシなどの、県内で見られるほとんどのカシ類を見ることが出来ます」

西明寺楼門(仁王門)

石段の先にある楼門。国指定重要文化財。

「この楼門は延徳元年(1489)に着工し10年を要して完成したものと伝えられる。屋根は茅葺きで入母屋造りである。斗供(ときょう)や蟇股(かえるまた)等に室町時代の特徴がよく表われており又唐様の形式をよく残した貴重なものである」(説明板より)

西明寺三重塔

楼門の左手にある三重塔。国指定重要文化財。

「この三重塔は天文7年(1539)頃の完成と考えられている。この塔の大きな特徴は屋根が板屋根となっていることで、塔としては日本唯一のものである。また彫刻等に室町時代の特徴を残している」(説明板より)

西明寺本堂

西明寺本堂。栃木県指定有形文化財。

「この本堂は五間四方寄棟造りで屋根は茅葺き形銅板葺きである。前面一間が吹き抜きとなっている。元来室町時代の建造であったが江戸初期の火災で焼損し元禄15年(1702)に再興されたものである。彫刻、彩色など江戸文化の華やかな面が表われている」

獨鈷山という山号は弘法大師につながりがあるのかと思い、調べてみたら、小林祐一『坂東三十三ヶ所札所めぐり 観音霊場巡礼ルートガイド』に、以下のような伝説が紹介されていた。

「延暦年間(782~806)には弘法大師空海が来山。このとき、大師に敵対した人々が大師を岩屋に押し込めようとしたが、持っていた独鈷でこの難を避けられたことから、山号を「獨鈷山」とし「獨鈷山西明寺」と称したという」

(「2018年春 札所と陶器と酒蔵を巡る益子散歩 その二:第101回益子陶器市~1937年創業 外池酒造店の酒蔵見学」につづく)

《引用文献》
● 『坂東三十三ヶ所札所めぐり 観音霊場巡礼ルートガイド』小林祐一(メイツ出版、2017年)




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