「益荒猛男(ますらたけお) 山廃仕込 特別純米原酒 無濾過生 R1BY」は、菅田町のちょっと行きにくいところにある酒の旭屋で購入。
基本的な情報をまとめておくと(裏ラベルなど参照)、醸造元:向井酒造株式会社/醸造元所在地:京都府与謝郡伊根町/原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)/原料米:京都府産米『祝』100%使用/精米歩合:65%/アルコール分17度/製造年月:23.6。
醸造元のコメント(裏ラベルより):「何もかざらず堂々と、そのままに、日本海を相手に生きる、伊根の漁師のような、旨みたっぷり濃厚で男らしい酒に仕上がりました。飲みごたえあり。辛口原酒」
以前、飲んでいたのは、火入れのH29BY(「京都の地酒、益荒猛男(ますらたけお) 山廃仕込 特別純米原酒の燗であんこう鍋をいただく」参照)。こちらは限定酒として出回ることがある無濾過生で、この日に抜栓。
向井酒造の所在地は、京都府与謝郡伊根町。キャッチフレーズは、「日本でいちばん海に近い酒蔵」。
この日の食材は、ライフ・ビエラ蒔田店で購入しためだい/眼鯛(うろことえら・わたは、購入時に処理してもらった)。いつものよりひと回り大きなバットに乗せているのでかなり大きい。めだいは鮮魚店で見かけたことはあるが、さばいて料理するのはたぶん初めて。
かなりの数の魚がカバーされている西潟正人著『改訂版 日本産 魚料理大全』では、以下のように説明されている。「小魚で干物にされる高級魚、イボダイの仲間だ。メダイは1mになる大魚で、英名はバターフィッシュ。全身バターを溶かしたような、強い粘液に覆われる。小さなイボダイに対し、大きなメダイには高級感がない。釣りでは強い引きで人気だが、隣近所に配っても内心はそう喜ばれていないと思う。美味しい魚なのに、どうしてだろう。欠点を探すなら、身がやわらかくて日保ちがしないこと。だが、そんな高級魚はいくらでもある。メダイは大きいほど、身がしっかりしてうまい。家庭なら40cmあれば、いろいろな料理に重宝する。安いうちに、楽しんだほうがいい」
めだいを三枚におろし、頭やあらの下処理をし、すぐに食べない部分はペーパータオルとラップにくるんで冷蔵庫で保存。
この日は新しい醤油を開栓した。醤油を筆頭に調味料のラインナップが充実しているライフ・ビエラ蒔田店で購入。
商品説明(石孫本店HPの商品説明より):原料に地元湯沢産大豆、秋田県産小麦、粗挽きの天日塩のみ、水は枯れることなく水を蓄えた石孫の井戸水。古来の伝統製法を頑なに守り続けて仕込んだ天然醸造醤油です。小麦を石炭で炒るところから始め、石室の中で炭を埋火(うずみび)にして麹を造り、「家付き酵母」を大切に守り育てながら伝統的な製法で丁寧に仕込みます。
雪に閉ざされる厳寒期。蔵人が寝ずの番で麹を育て、百年以上使い続ける巨大な天杉桶に仕込まれ静かに四季を暮らし、ようやく熟成させたもろみを布袋に入れ、漆塗りの木船でゆっくりゆっくり搾ります。あくまで自然に、急かさずじっくり…。
醤油とは、料理の脇役ではありますが、主役が引き立つには良い脇役があってこそ。石孫の一番基本となる醤油であり、キリリとした風味と香りの高さが自慢の逸品です。
めだいの炙りにつける醤油は、開栓した百寿。すでに使っている吉野杉樽天然醸造醬油や井上古式じょうゆは、店によってはスーパーでも見かけることがあり、ある程度、認知されているのがわかったが、この百寿は他では見たことがなく、「石孫本店には機械はありません」というポップに惹かれ、買ってみた。いきなり白身魚の刺身はどうかとも思ったが、これがすっきりしていてうまかった。これならどんな食材にも合わせやすいのではないか。
ちなみに、「百寿」(100ml)を扱っている職人醤油のコメントには、「うま味はしっかりしながらもスッキリしているので昔ながらのTHE醤油!!といった味わい。職人醤油の初めての1本にもおすすめです」とある。
めだいのかぶと煮。調味料は、醤油が同じく百寿、みりんが三州三河みりん、砂糖が喜界島さとうきび粗糖、料理酒が澤屋まつもと厨酒。前のふたつの醤油を使った煮つけもよかったが、百寿との組み合わせもまろやかでコクがあり、うまく仕上がった。
この日に抜栓した益荒猛男 無濾過生を常温でちょっと味見してから上燗で。醸造元の「旨みたっぷり濃厚で男らしい酒」というコメントにあるように、通常の火入れ原酒は力強い酒だが、抜栓時の生はかなりすっきりしている。熟成によるなめらかな口当たり。個人的には、同じ京都の木下酒造も使っている酒米の祝には独特の甘みもあると思っていて、そこも魅力。これからだんだんどっしりしてくるような気もする。
《参照/引用文献》
● 『改訂版 日本産 魚料理大全』西潟正人著 (緑書房、2020年)
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