クビンスのヨーグルトメーカーでヴィーリをつくり、フレデリックの『発酵食の歴史』で発酵の歴史や文化に思いを巡らせつつ、ヴィーリをソースに使ったスパイシーチキンソテーをいただく

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クビンス ヨーグルト&チーズメーカー KGY-713SM KGY-713SM」で、今度はフィンランドの伝統的な発酵乳ヴィーリをつくってみることにした。市販されている種菌「ヴィーリ 10包 VIILI」は、近場に扱っている店舗が見当たらなかったのでネットで取り寄せた。

ヴィーリに興味を持ったのは、乳酸菌のつくる食物繊維(EPS)のプレバイオティクス効果(「乳酸菌のつくる食物繊維(EPS)の働き|ホームメイド・ヴィーリ|Nakagaki公式サイト」参照)もあるにはあるが、ジャーナリスト、マリー=クレール・フレデリックが書いた『発酵食の歴史』のヴィーリにまつわる記述が強く印象に残ったからでもある(※本書ではヴィーリがヴィリと表記されている)。

「サンダー・エリックス・キャッツは、二〇世紀初頭に移民したフィンランド人家族の一三人兄弟の末っ子だった九五歳の老人のきわめて感動的な話を伝えている。ある日、彼は義理の娘に、「種」の世話ができるかどうかたずねた。糸のようにのびる非常に変わった発酵乳、ヴィリをつくるための菌を、フィンランド人はこう呼んだのである。この菌は世代から世代へ、フィンランドの家族に伝えられていた。移民たちは母国を去る前に、清潔なハンカチを発酵乳に浸してから乾かし、それを旅行鞄にしのばせて、新たな生活への長い旅路についたのである。義理の娘は世話できるといって老人を安心させた。老人は翌日の夜に死んだ。菌は移民たちにとって、新しい国でずっと暮らしていくための保証であった。新しい国での新しい生活。だがそれは、先祖の根っこを維持していなければ成り立たないのだった。フィンランドの地にルーツをもちながらアメリカの地で生まれた老人にとって、フィンランドの家族がもたらし自分とともに育った菌株がいつまでも生きつづけると知ることが、自分の命が終わっても家族の生活がつづくことを確信させたのである」

発酵の文化はアイデンティティとも深く結びついている。

牛乳1000mlにヴィーリ1パックを混ぜる

ホームメイド・ヴィーリの発酵適温は20~30℃で、24時間で発酵できる。条件は、この前つくったケフィア(「クビンスのヨーグルトメーカーでケフィアをつくり、フレデリックの『発酵食の歴史』で発酵の歴史や文化に思いを巡らせつつ、ケフィアを使った牛ステーキをいただく」)とほぼ同じなので、「クビンス ヨーグルト&チーズメーカー KGY-713SM KGY-713SM」の付属のレシピにあるケフィアの設定に合わせた。成分無調整の牛乳1000mlにヴィーリ1パックをよく混ぜる。

クビンスのヨーグルトメーカーを24℃、24時間に設定

容器をヨーグルトメーカーに入れ、レシピに従って24℃、24時間に設定。

24時間で固まり冷蔵庫で冷やしたヴィーリ

24時間後に牛乳が固まっているのを確認し、冷蔵庫で冷やしたヴィーリ。

完成したヴィーリを混ぜて、粘りをみる

かき混ぜると確かに粘りを感じるが、思ったほどの粘りではなかった。もっと強くかき混ぜると粘るのか、あるいは温度と時間を調整する必要があったのか。まだ9パック残っているので、次は調整してみたい。味は酸味が穏やかで、料理にもいろいろ使えそうな感じだ。

ヴィーリを使ったスパイシーチキンソテー ヨーグルトソース

ヴィーリを使ったスパイシーチキンソテー ヨーグルトソース。「【レシピ】スパイシーチキンソテー ヨーグルトソース|銀座カーヴ・フジキ」を手本にした。カイエンヌペッパー、コリアンダー、クミンといったスパイスとヴィーリがよく合う。わが家で育てているブロンズフェンネルも少し散らしてある。

《参照/引用文献》
● 『発酵食の歴史』マリー=クレール・フレデリック 吉田春美訳(原書房、2019年)





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