「キリ・ヤーニ パランガ ホワイト 2015」は、関内駅近く、大通り公園わきに店を構える葡萄屋・関内店で購入。
基本的な情報をまとめておくと(インポーターである株式会社モトックスの商品説明を参照)、生産地:ギリシャ、マケドニア/生産者:キリ・ヤーニ(Kir-Yianni)/品種:ロディティス80%、マラグジア20%/味わい:辛口/飲み頃温度:10度。
インポーターのコメント:「ギリシャ固有品種を使用したふくよかな白ワイン。マスカットの爽やかなアロマを持ち、豊かな果実味が特徴。パセリやスパイスのアクセントも印象的で柔らかな口当たりの白ワイン」
生産者であるワイナリー、キリ・ヤーニについてちょっと調べてみた(Kir-Yianniのサイト、その他を参照)。キリ・ヤーニは、1997年にヤーニス・ブタリスによって設立された。彼はいろいろな意味で個人的にかなり興味をそそられる人物だが、まずは一般的な話を。
ヤーニスは、曽祖父が1879年に設立した家族経営の老舗ブタリ・ワイン・グループの4代目だったが、より小規模な形態で自分のビジョンに忠実なワインを作るために独立し、故郷でもあるマケドニアの山間部にキリ・ヤーニを作った。その準備は以前から進められていたともいえる。ヤーニスは1970年に、ヴェルミオン山の東麓、ナウサの町に近い40ヘクタールの土地に黒ぶどうクシノマヴロを植え、それがのちにキリ・ヤーニの母胎となる。さらに1985年には、ヴェルミオン山の西の高地、アミンデオン地区に白ワインの品種を植えた。つまり、独立する時点ではしっかりと土台がでてきたことになる。ただし、以下の動画を見ると実情がもっと複雑であることがわかる。
▼ この動画、「熊を救う」というタイトルからは想像もできないが、実はヤーニス・ブタリスと深い関わりがあり、彼自身が登場していろいろ語っている。ヤーニスはブタリ・ワイン時代に仕事に追われるストレスからアルコール中毒になった。そのことも独立の一因になっているようだ。そんな彼は、立ち上げたキリ・ヤーニの基礎を築くだけでなく、過疎化に悩むブタリス一族の故郷の町Nymphaeoの再建に乗り出し、雇用の創出につとめた。さらに熊の保護にも乗り出した。それは減少著しい野生の熊を保護するだけではない。曲芸を仕込まれ、もはや野生の環境に戻ることが困難になった熊を保護するための施設を作っているという。ちなみに、ヤーニスは2011年からギリシャ第二の都市テッサロニキ市の市長をつとめ、環境保護主義者や政治家としても注目を集めている。
▼ ワインだけにこだわらず、土地、人、文化、自然、動物に関心があるため、話がそれたが、キリ・ヤーニのぶどう畑やワイン作りに興味がある方には、このキリ・ヤーニの四季の風景とワイン作りをとらえたショート・フィルムがおすすめ。創設者ヤーニスや彼の長男で、醸造家として現在のワイナリーを仕切っているステリオス・ブタリスも登場する。
ギリシャワインは飲んだことがなかったと思うが、パランガ ホワイトは自分流にいえばクールで、好みの味。ハーブをきかせた魚料理が食べたくなるような白ワイン。
ということで、1日目は鯛のオーブン焼き。谷本英雄『イタリアの味 (暮しの設計 NO. 217)』で、「鯛のオーブン焼き」として紹介されていた料理。「鯛の腹に香草とにんにくを詰めて、オーブンで焼くだけの簡単な料理。イタリアでもっともポピュラーな調理法(後略)」と説明されている。
材料は、鯛、ローズマリー、にんにく、オリーブオイル、プチトマト、オリーブ(黒・グリーン)、マッシュルーム、ローリエ、白ワイン、ハーブ入りの塩など。ハーブは、我が家で育てている2種類のローズマリーを使った。
2日目は、まずイワシのレモン漬け。海鋒勇『家庭の味わい イタリア料理 (暮しの設計 163)』で、「いわしのレモン漬け」として紹介されていた料理。材料は、イワシ、レモン汁、白ワイン、イタリアンパセリ、にんにく、オリーブオイル、塩、こしょうなど。
もう一品は、イワシのガーリックソテー。材料は、イワシ、にんにく、オリーブオイル、塩、こしょう、すだち。よく作るシンプルな料理だが、今回はすだちをかけていただいた。
ハーブの香りとかイワシの苦味などがこのワインに合うように思えた。
《関連リンク》
● Film: Saving the Bears | JOURNEYMAN TV