“発酵リバイバリスト”を名乗るサンダー・エリックス・キャッツの『天然発酵の世界』によれば、ザワークラウトにはがん予防の有効成分が含まれているという。
「もともとキャベツやその他のアブラナ科の野菜(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、からし菜、ケール、カラードグリーン、チンゲンサイ、その他いろいろ)は、抗ガン性の栄養素がいっぱい詰まっている野菜だと長い間認識されています。そして今回“Journal of Agricultural and Food Chemistry”(農業と食品化学ジャーナル)で新しく発表されたフィンランドの研究によると、キャベツに含まれるグルコシノレートが発酵によって分解され、イソチオシアネート化合物になることがわかったのです。このイソチオシアネート化合物がガンを抑えることはすでによく知られています。この研究を発表した著者のひとりであるエーヴァ=リーサ・ニュヘネンはこう述べています。『発酵したキャベツのほうが、生のキャベツより体にいいことが分かってきました。特にガンと闘う場合には』」
最初のザワークラウトはキャベツと塩だけでつくった。2度目も基本を確認すべく同じものをつくった。それでも風味が微妙に違うことは、「キャベツと塩だけでつくるザワークラウトの微妙な風味の違いと複雑な発酵のプロセスについて――『サンダー・キャッツの発酵教室』を参考に」で書いた。
3度目はスパイスを加えてみる。いちばんポピュラーなのはキャラウェイだと思う。キャラウェイといえば筆者がすぐに連想するのはグーラッシュ(グヤーシュ)。ワイン時代によくつくり、日本酒でいただいたこともある(「京都の地酒、玉川 自然仕込 山廃純米 北錦 無濾過生原酒の熱燗でビーフ・グーラッシュをいただく」)。そのグーラッシュをつくったときに、一度キャラウェイを入れ過ぎて痛い目にあったことがあり、ちょっとしたトラウマになっている。
そこで、キャラウェイの適量を確認するために「天然の酸味が決め手!自家製ザワークラウト|丸ごと小泉武夫 食マガジン」を参考にした。このレシピと同じようにローリエと鷹の爪も入れている。
いわしのオイル漬けと自家製ザワークラウト。この前日にも同じ組み合わせのメニューがあったが(「愛知の地酒、長珍 純米吟醸生詰 ひやおろし原酒 H29BYの熱燗でいわしのオイル漬け、ほうぼうのカルパッチョ ヨーグルトソースやあら汁をいただく」)、前日はザワークラウト2号で、こちらはキャラウェイ風味の3号。その風味が食欲をそそるが、素材の旨みをストレートに味わえる基本のザワークラウトも捨てがたい。
《参照/引用文献》
● 『天然発酵の世界』サンダー・エリックス・キャッツ きはらちあき訳(築地書館、2015年)
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